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***里の気象台(気象解析と言い訳けコーナー)***
(偶然このページを読まれた方へ);予報技術研鑽のための解析練習や予報外しの反省の弁など、とりとめもなく書きます(独り言です)。間違いも多く含まれていると思われますので、ご指摘などいただければ嬉しいです。
更新日付 更新概要
2006/6/23 22日の大雨(県南中心、岡山で70mm、広島で85mm)
2006/6/22 熱雷予測は難しい
2006/5/14 前線とトラフの反応についてのケーススタディー
2006/5/6 数値予報と実況との誤差
2006/3/1 再び-30℃の寒気が入る。南麓に降雪か。
2006/2/18 上空で蒸発する雨
2006/2/17 山陰の雨が山越えしないケース
2006/2/9 翌朝の最低気温は記録的な値に?
2006/2/8 明日朝までの南麓の降雪量
2006/2/7 黄海から侵入する筋状雲による降水
2006/1/28 29日夜、南東に抜けた高気圧後面の収束域で対流雲発生か?
2006/1/25 クローズドセル中心の日本海の筋状雲は中国山地を超えるか。
2006/1/21 詳細解析を追加。日本海からの収束線に伴う対流雲列は中国山地を超えず。
2005/3/26 最低最高気温を大きく外した(4℃以上)
2005/3/20 くもりで降水なしを予想したが・・・。
2005/3/19 完全な晴れを予想したが、実況は日照率60〜70%程度。外したと言われても・・・。
2005/3/17 朝霧の発生を見逃した
2005/2/26 降雪量の予想を外した
2005/2/25 2/21コメントに追記
2005/2/24 降水予想を外した(更新中)
2005/2/22 最低気温を外した
2005/2/21 最低気温を外した

本解析に利用した各種専門天気図、気象データなどは、殆ど全てWEBで入手できます。
専門天気図 北海道放送(HBC) http://www.hbc.co.jp/pro-weather/index.html
気象衛星画像 気象庁 http://www.jma.go.jp/jp/gms/
ウィンドプロファイラ(WPR) CRCソルーションズ http://www.weather-eye.com/wind/
エマグラム(状態曲線) Univercity of Wyoming http://weather.uwyo.edu/upperair/sounding.html

2006/6/23
2212Zの鹿児島と潮岬のエマグラムをみると、925hPa以下は20kt以下(地上は10kt以下)と風はやや弱く、西南西など西よりの風でした。紀伊水道や豊後水道から暖湿気流は入りにくい風向だったようです。また、鉛直シアーが強く、700〜500hPaでは50kt近い西風となっていました。
一方、2200zイニシャルのFXJP854の2212z予想図を見ると、850hPa面では九州北部から中四国地方はほぼ西よりの風(20〜40kt)で、東西走向の梅雨前線の南側には336Kの高相当温位の気流が入っていました。また、日本海は北西風、東シナ海は南西風となっていて、西日本上空が収束域となっていましたし、500hPaでは+40〜50の正渦度が通過していました。レーダーエコーでは、所々に東西走向の線状エコーが見られましたが、停滞している地形性の強いエコーは見当たりませんでした。

2006/6/22
昨日21日の県北の天気予想は大ハズレでした。県北西部を中心に大規模な雷雨が発生し勝英地域にも流れてきました。岡山市内でも雷?雲が通過したようです。11時の天気予報はチェックしませんでしたが、5時の時点では降水確率は0%だったと思いますし、私もそう思って防除の準備をしていました。これほど見事に外したとなると予報士の面目もまるつぶれですので、今後のために少し調べてみました。

県北の熱雷は通常、中国山地の稜線付近での谷風収束をきっかけとして発生し、一般風のシアーや山陰と瀬戸内側からの海風によって、その発達程度や移動方向が決まってきます。その場合は、メッシュの粗いRSMでも大まかには予想できているケースが多いようです。
今回、500の寒気は-8℃程度とそれほど強くはなく、また山陰沿岸の850hPa付近の風もかなり弱い予想(15kt)でした。その他、500の渦度や下層の暖気移流など、強い上昇流の発生する環境ではないようでした。しかし、実況(アメダス地図)では、島根県東部の地上風(西風)のみが強く(30〜40kt)(今のところ原因不明)、孤立峰の大山とその周辺の西風の収束しやすい地形でのみ雷雲が発生したようです。しかし、いくら局地的な上昇流が発生したとしても、湿りがないと雨は降りません。事実、午後から急激に850の湿度が上昇し、SSIは朝の1.1から15時の-1.5まで急激に悪化しています。
RSMはSSIの値をしっかり予測したにもかかわらず、地上風の予測を誤った上に、メッシュが粗いため、地形性の強い上昇流を計算できなかったのでは?と思います。
 

2006/5/14
16日から17日の天気が気にかかる。南シナ海にある台風1号からの暖湿気流が南海上の前線に流入している。前線の北側は日本付近がハイベルトとなっていて下層から中層は比較的乾燥しているので、急に天気が悪化することは無いだろうが、前線が活発となり北上傾向となるのは間違いないだろう。1400Zイニシャルの1700Zの予想では、東シナ海南部に強い雨雲がある。この雲域は太平洋高気圧の西側縁辺にあたり、台風の影響もあるが、500hPaの5700〜5760のトラフの接近で低気圧となる可能性があるのではと心配してしまう。しかし、モデルの予想では、北側の5700の短波のトラフの動きが早く、5760に先行して西日本の山陰沿岸を17日午前中に通過し、その後面ではむしろ5760と5700は逆位相となっていく予想。16日午後から17日にかけて、東シナ海の雨雲の北上は遅いという予想は、この5700の短波トラフの後面にあるリッジからの下降流により、西日本の中下層が良く乾燥しているためらしい。しかしこの先行するトラフが少し進行を遅め、位相が合ってしまうことで、この雨雲と前線が反応するということも考えられる。結構、微妙なタイミングのような気がする。もし悪い方にずれたなら、強い雨雲は17日朝にも西日本にかかってくる可能性が高い。まずは15日夜から16日朝にかけての、短波トラフに伴うやや強い渦度移流域で地上天気がどう反応するかに興味がある。今のところモデルは強い反応を予想していないようだが。
モデルの評価については、1400Zの客観解析AUPQ78では湿り域の解析が観測値と良く一致しているので、現時点でのモデルへの取り込みは一見問題ないように見える。しかし、現時点(14日夕方から夜にかけて)で既に、予想より雨域の南下が遅く(特に関東)、かなりのずれが発生している。12Zイニシャルの最新のモデル予想がどう変化しているかをチェックすべき。
注目する現象の24時間前の湿り域の解析は東シナ海上がカギとなるのだろうが、測定点も少なく、どう評価してよいのやら・・・。とにかく今後の実況に注目。

2006/5/6
6日夕方からの雨の予想について; 5日12Zイニシャルの6日朝7時の予想では、朝鮮半島の南部では雨は降っていないが、実況ではやや強い雨となっている。RSMの予想データと毎時風解析を比較すると概ね一致しているが、12ZのAUPQ78を見ると朝鮮半島の烏山(OSAN)や済州島付近の実況データのうち湿数が3以下にもかかわらず客観解析の点線域になっていない。この湿域データがうまくモデルに取り込めていないことが原因のように思えるが・・・。

2006/3/1
1日夜(19時)、黄海から東シナ海北部にかけ、筋状雲が発生し、西から寒気の流入が強まっていることが分かる。日本海の朝鮮半島東部沿岸に南北に連なるエコーがあり、ゆっくり東進している。このエコーはRSMでも予想されているが、予想より若干遅く、かつ強い降水を伴っているようだ。2日未明には米子付近に達し、県北にも影響を及ぼす可能性がある。
一方、中国地方西部の上層は既に良く晴れているが、長江河口付近には東西走向の薄い上層雲がある。これは500hPa付近の収束域(中間系ジェット?)に対応しているもので、RSMでも予想されている。2日午前中に中国地方を北東進する予想で、降水を伴うものではないようだ。その他、モデルは概ね実況を良く説明している。
2日には、500に-30℃の寒気が入り、日本海の対流雲は厚さを増すみこみ。朝鮮半島の東にあるエコーは日本海の下層シアーラインに対応するもので、浜田や鳥取のWPRによればこの下層シアーRSMの予想とも合致する。今後は、ゆっくり東進し、2日未明から午前中にかけ、山陰に雪を降らせる模様。南麓への影響もあり、朝までに山沿いや奈義北部で湿り雪となる見込み。積雪としては少ない(1〜2cm)だろう。ただ、日中も引き続き上層に強い寒気が入り、山陰沿岸の対流雲高度は3000m程度あるため今後の実況に注意が必要。
2日夜から3日午前中にかけては、5280〜5400付近の流れに沿って短波のトラフが接近。日本海の風向が西寄りに変わり、新たなシアーラインが日本海に発生。対流雲が発達し南麓に弱い雨または雪を降らせそう。2日以降の着目点はこの短波のトラフの深まり。

2006/2/18
今日18日、明日19日は雨の降る予想は全くなく、特記すべき現象はないが、少し興味ある現象を見つけたのでまとめてみた。RSMと実況の比較をしていると、レーダーに九州の西にある1mm以下の降水域があった。この降水域は東に移動し、昼頃から夕方近くまで九州南部を通過した。しかし、同時間帯のRSMの予想では台湾から沖縄付近にかけて5mm程度の雨を予測している(実況にもあっている)ものの、奄美大島付近から北側では降水を全く計算していない(西日本は概ね晴れている)。今回のRSMは実況とはずいぶんずれいるなと思って見たが、良く調べてみるとそうではなかった。台湾付近には東西走向に前線が停滞し、やや強い降水が観測されている。前線の南側には太平洋高気圧の縁辺流が入り、北側は黄海付近にある高気圧の下降流場になっている。九州南部は中層から高層にかけては湿潤だが、下層は高気圧の前面にあたり、1000〜3000mの最下層だけが良く乾燥している。鹿児島のエマグラムや熊本・鹿児島などのWPRからも明らか。レーダーに雨雲が移っていた時間帯に、熊本の上空はWPRのSNRは強く、3000〜7000mが0〜1m/sの弱い下降流場として観測されている。このことから、3000m以上では弱い雨が降っているが、その雲低から落ちる雨は地上に達するまでに消失していたと推測される(アメダスに観測されない0.5mm以下の小雨は降っていたかも)。
前日の00ZイニシャルのRSMはこの状況を良く計算していた。高層断面図の湿度分布を見ると、九州上空の湿潤域の下に潜り込むように乾燥域が南に延びていた。RSMは高層からの降水が下層で蒸発することを計算していたのだろうか。

2006/2/17
山越えしないケースを見ておく。まず実況。17日の鳥取では終日、時間雨量にして1〜2mm程度の小雨が降り続いていた。那岐山南麓では、山沿いは曇天だったが、勝央などやや南では日照率にして30%程度で、くもり時々晴れであった。それより南では更に日照率は上がる。雲は一部山越えするが、雨は中国山地で殆どせき止められている。鳥取WPRデータでは、日中の下層風は1000m付近まで北北東風10m/sで揃っているが、1500m付近から上層は西風に急変していて、その上の2500〜3000m以上は欠測域となっている。この時間の米子エマグラムでは、700〜600hPa辺りが顕著な安定層となっていて湿数20以上。地上天気図を見ると、西から高気圧が張り出してきて、沈降性逆転層が形成されつつある段階と推測される。日が変わって18日の午前1時ころから次第に雨も弱まり、午前6時ころには止んだ。WPRデータはこの降水の弱まりに対応して、欠測域の高度が次第に下がり、午前7時には1000m強、8時には1000m弱となった。
1600ZイニシャルのRSMの計算結果は、下層雲域も降水域もこの実況をほぼ予想していたと思われる。

2006/2/9
RSMの計算では、明日の津山付近の最低気温は-13℃!、850の気温予想は-7℃前後。1500m上空より地上が5℃以上低いことになる。津山の日較差の記録は、恐らく2004年1月25日〜26日の14.2℃(日中1.6℃、翌朝-12.6℃)だろう。盆地に特有の気候で全国でもトップクラスと思われる。今日の最高気温は14時の2.4℃。予想よりやや早めに晴れたためか、RSM予想の最高気温より実況は1℃程度高い。単純計算では明日は-12℃程度の予想になる。
気象庁発表は-9℃(津山)なので、奈義付近では-10〜-11℃程度でおさまるか? 2004年の寒波では、翌年春の発芽が遅れたり、枯死する若木があったそうだ。同様のことが起きなければ良いが・・・。

2006/2/8
日本海のシアーラインが順調に南下。アメダスによると18時〜19時に隠岐の西郷で、また20〜21時に山陰沿岸の地上風向が一斉に西風から北風に急変し、シアーラインが通過したことが分かる。風速は5〜6mでやや強い。また、鳥取や浜田のWPRから雲頂は3000〜4000m程度とみられる。これら21時現在の実況とRSMの00Zイニシャルの計算結果とは概ね合致している。RSMの計算が正しければ、今晩の内に南麓北部で10cm以上の雪になる。
那岐山を越えた雪雲は、山越えの下降流により弱まるがどこまで侵入するかじっくり観測したい。注目は、南麓のエマグラム。

2006/2/7
気団変質を受けた対流雲(筋状雲)が黄海・東シナ海など西から侵入するパターン
 2月7日の11時30頃のKMAの衛生(MODIS)画像を見ると、大陸からの筋状雲が渤海から黄海を経て朝鮮半島南岸を経由し九州西岸に達している様子がよく分かる。この西回りの筋状雲は朝鮮半島南岸付近まではオープンセルタイプだが、九州西岸に達する頃はクローズドセルタイプに変化している。
 一方、日本海にはメソαクラスの低気圧が発生し、雲頂の高いCbが多くみられ、下層はよく見えないが、筋状雲は殆どないようす。
 西回りの筋状雲の吹走距離は長く、また海面温度も高いせいか、平戸のWPR観測では3000m以上と雲頂は高い。そのため、九州北部や広島の山岳部ではせき止め効果がなく、中国地方東部にそのまま達している。レーダー観測でも中国地方全域に見られる雨雲は、数km〜10km程度の雲低の広がりを持つ積雲がまばらに存在し、そこから1〜5mm/hr程度の雨を降らせている。県北の雨量は少なく、積雲の間から時々日が差している。

2006/1/28
2800ZイニシャルのFT=12予想図と、中上層の水蒸気画像や赤外画像の実況とを比較するとよく合っている。台湾付近にある雲域は、北上傾向がなく、今後500の風に流されて東進する。朝鮮半島北部にある上層雲も東南東進し西日本上空で明日午前中までには消失する予想。心配なのはアムール川上流部にある上層のトラフの前面にある雲域、RSMの予想は今後深まる様子ではないが、実況に注意すべき? 明日29日、西日本は高気圧に覆われて下降流場。WPRでも1000m以上のデータが取れないくらいによく乾燥している。明日いっぱいは日本海側もよく晴れて問題ないが、その後、高気圧後面の収束域に306Kの暖湿流が入り対流雲が発生する見込み。30日朝には県北も雨雲がかかるかも。

CRCソルーションのデータがまたおかしくなった。何て表現して良いのか分からないが、データ列の数フレーム?がごっそりずれていて、全国のデータが全部間違っているって感じ。私のPCのせいだろうか?でもNOAAのデータは全く安定している・・・。
その後、CRCから連絡があり、システムに障害が出ているとのこと。翌日の午後には復旧していた。

2006/1/25
17時現在、基本場はNW流場であるから、今後大きく天気は崩れることはないと思う。朝9時の時点でトラフに伴う対流雲は見当たらない。ただ、赤外画像しかまだ見えないので、日本海の下層の対流雲の状態がわからない。水蒸気画像で強いバウンダリーもないし、FXJP854にも目立った収束線が予想されていないので、対流雲の山越えは無いかも・・。
17時現在。15時時点の速報天気図と00ZのRSM予報データを比較すると、海面気圧に関しては実況と予想はほぼ合っている。鳥取の16時のWPRデータによると、昼過ぎまでは各層に分かれていた日本海からの雲が、13時頃から3000m〜5000mの中層雲として厚さを増してきた。その下層2000〜3000mには朝から逆転層または安定層が維持されている。昼まではこの逆転層の上のやや薄い雲域が中国山地を超えて南麓の上空を通過していたが、雲に厚みがなく、下層からの水蒸気の補給もないため雨雲にはならなかった。(ここまで、書いたところでCRCの16時のWPRデータが15時時点のデータと全く異なることが分かった。24時間前までのデータ全てが。CRCに問い合わせ中。初めての経験だが普通の出来事なのだろうか?)。(データに信頼性が無いが・・・、)16時以前のプロファイルを見ると、2000m以下の下層雲が少しずつ雲頂高度を上げいているように見える上に、3000m以上の中層雲の高度がやや下がり、中間の乾燥した層の厚みが小さくなりつつあるようだ。これが繋がった時点で降水なのだろうか?暗くなったので、可視画像が見えないのでCRCからの回答待ちにしよう。
15時以前のCRCデータと同じNOAAのデータを信用することにすれば、中層雲の厚さは引き続き小さくなっているし、下層雲の高度も増えていない。またRSMの今夜の850の風は北西20kt以下で降水予想無し。よって山沿いでも南麓側は降水無しとする。
18時19分; CRCのデータを再チェックしたところ、元に戻っていた。今のところ回答メール無し・・・。

解析雨量図によると、13時頃から鳥取の沖合い50〜100km付近から急に雨雲が発生し始め、16時30分には山岳を越え始めた。南麓では下降流のせいか、20〜30km南東進して消失するケースが多いが、明らかに山岳でのせき止め効果はなかった。米子のエマグラムでは2500m付近まで特性曲線が乾燥断熱線に殆ど平行に伸びている。またWPRからも雲の高さは2000〜3000m前後あり、風は弱くても湿った雲は非常にスムーズに山岳斜面を滑昇したと思われる。ただ、アメダスで見る限り、0.5mm以上の雨として観測されたのは鳥取県側のみであった(奈義トンネルから北側は弱い雨が降っていたようだ)。
下層雲の雲頂高度や大気の状態曲線が21日との大きな違いであった。ただ、なぜ、18時から21時頃に沖合いからの雨雲(下層雲自体は午後から存在していたが、レーダーに検出される雨雲としては17時以降)が成長してきたのかが解析すべき点。まさに18時から21時は500の短波トラフが通過する時間帯であった。また、夕方になって最下層に沖に向かう陸風が発生してたのかもしれない。

2006年1月21日
 20日まで日本付近は冬型であったが、21日から22日にかけて南岸を低気圧が通過した。21日朝から、日本海からの収束線に沿って対流雲列が順調に南下。この雲による降水か、南岸低気圧の雨雲による降水かどちらかだろうと予想したが、ともに中国山地の南麓で雨を降らせることは無かった。南岸の低気圧が当初の予想より南を通過したため。また日本海の対流雲は中国山地でせき止められたためである。2100Zの衛星可視画像と赤外画像を見ると、南岸には前線に伴う厚い雲があり、中国地方には黄海付近から鳥取にかけて、やや高気圧性曲率を持った上層雲が伸びている。2100ZのASASによると、下層には層積雲(下層雲量3)、中層は高積雲、上層は濃密巻雲が観測されており、衛星画像とも合致する。また、米子エマグラムを見ると、絵に描いたような3層構造で、850〜700と600〜450hPaの部分がよく乾燥しており、雲が全くない状態であることを示していた。鳥取ウィンドプロファイラも同様に、乾燥した2層に対応する高度の風データが欠落していた。それにしても、これらの目視観測や各種センシングによるデータが一つの事実を全く同様に示していることに改めて感心する。
 結局のところ、対流雲列が中国山地を超えることができなかった原因は、これら各観測データが示すとおり、850hPa付近の逆転層の存在と、850hPa以下の北東風が15ktと弱かったためであった。前日12ZイニシャルのFXJP854、FXFE5782などの予測資料では、700の湿数は18以上で下降流場、また風速も北東10ktと予想していた。また、対流雲が上陸する24時間以上前からウィンドプロファイラには明瞭な3層構造が見えいて、850付近に逆転層があることが示唆されていた。
(これら観測資料は全てWEBから見ることができるため(また資料の2次利用となる?ため)ここでは示しません。)

2005年3月26日
25日時点の3/26最低気温の気象庁予想は-4℃。単純にT850から推測すると0℃(24日時点で予想)だが、これより4℃も低い。気象庁に合わせて前日に予想を変更したが、結局大きく外れることになった。原因は不明。
前日の21時ころまでは順調に気温が低下、-0.3℃となる。その後、深夜に1℃程度まで上昇。その後徐々に下がったが、朝6時の時点で+0.1℃に留まる。風のデータを見ると夜間の半分近くが1〜2mの風速。冷気湖の形成には強すぎる?風なのだろうか?

3/20くもり降水なしを予想したが。
実況は、0.5mm未満の小雨が14時〜17時まで断続的に降った。感覚的には1mm以上の雨にはなったと思われるが、アメダスの記録にはならなかった。

3/19完璧は晴れを予想したが・・・。(更新中?、原因未解決))

3/17日朝の霧の発生は予想外(見逃し)
昨日からのデータを見れば予測は十分できたと思われるが・・・。残念。
16日の日中はくもり(時々小雨)、津山の最低湿度は16時頃の70%程度でこの時点でほぼ1日の最高気温の7℃前後となる。この後、気温は次第に下がっていき相対湿度も徐々上昇、24時頃には90%を超えた。奈義ではこの頃から一気に気温が下がった。恐らく晴れたのだろう。この直後に霧が発生したと思われる。その後の温度降下は非常に小さかったが、霧による温室効果?(ナンテあるのだろうか)、明け方の気温は津山より2℃も高かった。これがよく分からない。

正直、雪は予想外だった。
27日朝、奈義町豊沢で1時間程度降雪があった。うっすらと積もったがその後日照と共に昼までには跡形も無く溶け、午後には路面も乾いた。
津山では未明に降り積雪1cmとなったが日の出と共に溶け、午前中には路面も乾いていた。朝5時の天気予報は、前夜とは大きく書き換えられていた・・・。

今日26日の天気の反省
 気象庁発表の岡山県北部の予報によると、今日26日は「北西の風 くもり 昼過ぎ から 夕方 雪」の予報です。
 前夜から冬型が継続し、午前中には上空5000mに-30℃以下の強い寒気が入ってくるため大気が不安定となります。また上空の風が北寄りのため、山陰の雪雲が大きく南麓にも進入すると予想されます。上空の風はそれほどは強くないため勝央の南部の方では大きな崩れにはならないと思われます。夕方以降は西から移動性高気圧が近づき次第に天気は回復するでしょう。
 前夜から26日夕方までの間に勝央など南部でも時々雪が降る見込みです。夕方までの積雪は奈義町など北部では10〜15cm、勝央の北部では5cm程度の見込みです(朝8:30の時点ですでに奈義町では5cm程度の積雪です)。
 奈義町の気温は、上空の寒気のため明け方の気温は低くなり-2〜-1℃程度、また日中は降雪のため気温が上がらず+1〜2℃程度の見込みです。また勝央ではこれより1〜2℃程度高いでしょう。

 積雪量は気象庁発表のメッシュ予報を参照したが・・・。民間業者もみな同様の予報だったが・・。
 明け方は順調に降っていたが、11時頃から晴れ始め夕方まで日照率約50%。予報が「朝くもり、昼過ぎから夕方雪」だから予報とは正反対の実況となった。北北東10〜15ktの風では雪雲を持ち上げる力は無かったのか?3000m付近の逆転層が邪魔になったのか?或いは、夕方以降に影響が出ると予想していた高気圧の張り出し(下降流)の見積を誤ったか?
 レーダーアメダスを見る限り、中国山地の山陰側で盛んに雪雲が発生してはいたが、山地を越えるものは若干、超えても10〜20km程度で消失していた。智頭の降雪は22時時点でも続いており明け方からの積雪深は30cm!(鳥取は5cm) 間違いなく雪雲は発生しているが(山雪型)、中国山地が壁となったことは明確。
最低気温の誤差は1℃以内、最高気温は日照の予想を外したことに連動し約2℃外した。

言い訳; 今回の風速の弱さは気にはなっていた。そのため、積雪の南北差を強調して南部の勝央は積雪が少ない予想した。ただ、それよりももっと風は弱かった・・・。
 津山で積雪の多かった最近の2事例と比較。1/22明け方10cm、2/1明け方9cmの時の共通点として、
 1.680hPaあたりまで条件付不安定で素直に延びたエマグラム、その上は弱い逆転層か安定層。
 2.850の風は北西〜西北西の30kt。
それに比べて、今回は
 1.前夜の2512Z時点のエマグラムは、770hPaに強い逆転層、2600Zで710hPaに弱い逆転層。
 2.850の風は、2512Z西北西25kt、2600Zで北北西15kt。

教訓; 雪雲の侵入は、850風向風速と500の風向に要注意。
     20kt以上で自信を持って降雪あり、30kt以上なら積雪多し。
     前夜のエマグラムで、700hPa以上まで素直に伸びた状態曲線。
     (T500-T850<-20も必要そう。SSIやKインデックスなど試してみる?)
  岡山の天気としては大勢に影響がなくとも、津山や勝央にとってはダンチである。
  (しかし、この辺りの教訓、それ以上のものがガイダンスに組み込まれているはずだが・・。結局予報の限界か?)

今日24日の反省
 気象庁発表の岡山県北部の予報によると、今日24日は「北西の風 後 南東の風 晴れ 昼前 から くもり」の予報です。
 24日未明に九州南西部に発生した低気圧は、夜には四国の南を通過し、25日朝には関東に抜けます。降水域の境界は瀬戸内海付近をかすめて通過するでしょう。一方、24日夜頃から日本海に強い寒気が南下しており、日本海にも低気圧が発生しますが、これに伴う降水域も鳥取沖を東進し岡山県にはとりあえず影響が出ない見込みです。
 24日の天気は、北と南の雨雲に挟まれ、朝からくもりがちですが、雨にはならいで済みそうです。
 気温は、平年並みで、明け方の最低気温が平年並の-2〜-1℃程度、最高気温は日照が少ないため昨日よりはぐっと低く7〜8℃程度止まりでしょう。

実況は、17時〜19時で6mmの見逃せない雨。最低気温-2.7℃(6時)、最高気温+4.9℃(13時)。気温(特に最高気温)に関しては雨予想を外したことに連動したミス?。
(反省文を更新中)
(21日反省に追記した)

2月22日の最低気温予想 +3℃に対し、0℃(朝6時の時点)
夜間は比較的晴れる予想で、放射冷却を少し考慮し、t850の気温-3℃から、+2+1=+3としたが・・・。岡山市など県南は上記の計算通り。が、津山は岡山より2.4℃も低温。風が少なく冷気湖の形成があったから?


2月21日の天気(20日17時発表)
 気象庁発表の岡山県北部の予報によると、今日21日は「北西の風 くもり 時々 雪」の予報です。21日は冬型が次第に緩み、西から移動性高気圧に覆われてきます。日中は山陰の影響が強くくもりがちですが、夜から翌22日かけて次第に晴れてくる見込みです。また降雪は山間部に限られるでしょう。気温は、上空に強い寒気が入るため、21日朝は氷点下3〜4℃程度と冷え込み、日中も2〜3℃と寒い1日でしょう。

ところが、実況の最低気温は6時頃-5.9℃(アメダス奈義)。mapionもexite天気(民間気象事業者提供)も勝央で-2℃、奈義で-3℃を予想。tenki.jpも県北部で-2℃を予想。津山の古園さんからの-6〜7℃程度ではとの指摘あり。下方修正し-3〜4℃としたが・・・。

神奈川にいるため夜の天気は不明だが、21日の天気と前夜からの赤外画像から考えて夜も晴れていたのでは? 各社の予報は21日も「くもり」であり、放射冷却の見積が外れたと思われる。T850から考えれば実況は当然の成り行き。

翌日22日朝も同様な放射冷却が予想される。各社とも昨日より大きく予想を下げて-5〜6℃あたり。注目したい。

天気も外した。くもり予想に対して日照率75%。完全な晴れ。阿新、真庭、高梁地域がくもりがちで降水もあった。
850の風は終日西風20kt程度。島根県から広島の山岳部を超えて雨雲が岡山県西部に侵入しているが、下降流によるものか?東部までは至らない。一方、岡山県北部の山岳部を雲は越えることなく、鳥取県の海岸沿いが主な降水地域となったようだ。
米子のエマグラム(2100Z〜2112Z); 730あたりまでが条件付不安定、その上に逆転層あり。3000m以上の積雲は発生しにくい状況(地上、上空共に気温が低く、乾燥断熱線と湿潤断熱線が接近している)。

FAX図から素直に判断すれば「晴れ」に近い天気は予想可能だったと思われる。また、西風傾向と2月の海水温度などを考慮すればなおさら(古園予報士ご指摘から)。微妙な判断であることは勿論だが、夜間の雲量予想が最低気温に与える影響はやはりでかい・・・。


2月11日の天気(11日5時発表)
  気象庁発表の岡山県北部の予報によると、今日11日は「北西の風 くもり 所により 雪」の予報です。西日本は次第に冬型となり、南岸の前線も南下し離れて行きます。強い冬型ではないため平地部では雨や雪になることはないでしょう。奈義町など北部ほど曇天ですが、勝央町など南部では雲は多めですが時折日が差すこともあるでしょう。日中の気温は昨日とはうって変わって4℃程度と低めです。

ところが実況は、奈義町日照率は50%程度、どうみても「晴れ」。県南でも同様の天気だった。南北の差が殆どない。

11日15時時点の日本海の地上等圧線を見ると北西側への大きな膨らみがあり日本海西部〜中部だけが気圧傾度が小さくなっている。最下層の対流活動で暖気があるため?T850では特に認められない。これらのためか逆転層下の風は西北西10〜15ktと非常に弱い。これでは持ち上げメカニズムは働かない。レーダーアメダスを見ると降水域が中国山地で完全にせき止められた状態。海岸付近でうろうろしている降水域もある。昨夜の赤外画像で日本海の雲域は離岸距離は小さいにも関わらず下層雲が層状になっていて、いつもの筋状ではなかった。
チェジュ島にカルマンが見られる。逆転層がかなり低かったのか? ただ、遠すぎて参考にならない?
数値予報では、風の弱さはそれなりに予想されていた感じだが、・・となるとガイダンスが変だった?

雲について。午前中は移行層か逆転層下あたりをうろうろする積雲がところどころにある程度。中上層雲は皆無。14時前後?には東西に伸びる波状雲らしき雲が南に向けて幾重にも見えた。
結局のところ、予報が大きく外れた原因は不明。今後の参考にもならない・・・。